第4章 【直哉×無関心女中】
彼は自分に擦り寄ってくる馴染みの女に、無理難題を突きつけた。
「もっとええのはおらんのん。
最高級の、誰もが平伏すような別格の女や」
そうして数日後、紹介された席で彼は、その女と対峙した。
「……っ」
直哉は思わず、持っていた扇を握りしめる。
そこにいたのは、眩いほどの後光を背負ったような、完璧な「美」を持つ女だった。
すらりと伸びた長い手足、掌に収まりそうなほど小さな顔。都会の洗練された装いを纏いながらも、その骨格の美しさは天賦のものだと一目でわかる。
整いすぎた鼻筋、薄い唇、涼しげな目元——。
それは、どこか屋敷の隅で埃を払っている「彼女」を、さらに煌びやかに、完成された形へと昇華させたような姿だった。
(……これや。これこそが、僕が求めていたもんや)
直哉は必死に自分に言い聞かせる。
目の前の女は、名家にも引けを取らない教養を持ち、自分の隣を歩くのに何一つ不足のない存在だ。
だが、その完璧な「美」を眺めれば眺めるほど、直哉の胸には、奇妙な空虚さと、言いようのない苛立ちが再び頭をもたげ始めていた。