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【HUNTER × HUNTER】愛されすぎて困ってます

第2章 【1】ゾルディック家






「へへ……イルミに撫でられるの、だいすき」




義務的なそれではなく、しっかりと手のひらを頭に付け、髪の流れに沿って動く自発的な行為。 イルミらしからぬ行動に、先程とは違いどうして驚かずに受け入れているのか。 それは、彼がこういったことをするのは今回が初めてではないから。




「……」




しばらく撫でられていると、もう終わりだと言わんばかりに、ぽんと頭に触れられ、彼はわたしの名前を呼んだ。 その声に「なあに?」と返すと、イルミは端的に答えを口にした。




「そろそろ“アレ”、してほしいんだけど」




“アレ”と言うのは、わたしの生まれ持った特質を彼が使いたいときに使う言葉だ。 おしごとで怪我をしたときに頼まれることはあれど、その度合いはかなり酷く、時には手首から先がないなんてこともあった。 かすり傷程度なら、というか、イルミがそんな怪我をしてきたことはないけど……わたしに頼むのは重症のときだけだったから油断していた。 だって今の彼に、そんな傷は見えなかったから。




「怪我してるの?」



「神経毒。 大して効いてないけど。 毒の耐性くらい、つけといたほうがいいから」



「毒……。 わかった、やってみる」




初めて出会ったときから少し伸びた黒髪。 ちょうど襟足にかかるそれを横に流すと、目を細めないと見えないほどの小さな赤い点が視認できた。 その印にそっと顔を寄せ、唇を押し当てる。



……───【生命交換(ライフシフト)】



心の中でそう呟くと、体中を熱い何かが巡っていく。 五感が遮断され、わたしがわたしでなくなってしまったかのような、不思議な感覚。 ここにいるのに、ここにいない。 わたしの意識だけがふわふわと漂い、第三者のような視点で“わたし”とイルミを視認していた。 だから、五感を奪われてもなお、今行われていることは、ある意味見えている。 どういう理屈かは分からないけど……



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