第26章 タイトル未定【予兆】
「……確かに、腹が立ちました。でも……元はといえば、俺が一人で突っ走ったから……言いづらくさせたのは、俺です」
グッと奥歯を噛み締め、伏黒は俯いた。
突っ走って、ぶっ倒れて……死滅回游で泳者を殺して。
点が集まってきたことに喜んで……そんな自分や詞織を見て……星也は沈黙を選んだのだろう。
すると、星良は眉を下げて苦笑し、ちょいちょいと手招きして屈むように言ってきた。
言われた通りにベッド脇に寄り、少し身を屈める――と、星良は伏黒の頭に手を伸ばし、「よしよーし」と頭を撫でてきた。
「あなたが背負うことなんて、何もないわ。津美紀のことは あたしたちが選んだことで、宿儺のこともあの子が自分で選んだこと。あなたは何も聞かされなかった。それは、あなたの責任じゃないでしょ」
詞織、と星良は妹のことも呼び、伏黒にしたように頭を撫でる。
「姉さま……」
とうとう縋るように泣き出した詞織を抱きしめ、少しの間 星良はそのままでいた。
やがて詞織を離し、星良は夜色の瞳で伏黒と詞織をそれぞれ見る。