第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
時間をかけてゆっくりと解されていく。
記憶に残っているのは、シーツの色はチャコールグレーだったこと、重なる肌の体温と呼吸、くすんだオレンジの間接照明が勝己の表情を淡く映していたということ。
視界も感情も余白すら勝己で埋もれて、溢れてしまうくらいに満たされていた。
「凪…、……好きだ」
勝己の言葉が優しく私を支配する。それでも世界で一番の幸せ者だと思えて、この時間がこの先も永遠に続くって信じてた。
甘い時間のまだ記憶にも体にも残っている。
あの夜の体温だけが、まだ離れてくれないくて、一人で過ごす夜に辿るほど、胸が苦しくなった。あの日の記憶はもう手の届かないものだと、今、思い知らされる。
もし、私の個性がなくなったら、
勝己と対等ではいられなくなる。
そんな問いが不安となって胸を締め付けて、息が詰まる。机の上のスマホが鳴ることもない。触れることもできない。視界がチカチカして、手のひらが震える。
必死に呼吸を整えようとするけれど、どうしても胸の奥の孤独と不安から逃れられなくて、私は痛くて切ない孤独と向き合うしかなかった。
私から個性を奪うなら、奪ってもいい。
でも、一度だけ、願いを叶えて欲しい。
この日に戻って私に教えてあげたいの。
彼を、好きになってはいけないって…。
next.