第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 凪side
水面下で不穏な動きがあったことは、なんとなく気付いてた。焦凍も休みなく任務をこなして、家に戻ってくる時間も以前よりはっきり減っていた。
それでも、大きな事件のニュースもなくて、多くの人は普段通りの生活を送っていた。街にはクリスマスソングが流れ、大きなツリーは赤と緑のカラーで飾られている。何も知らない私は、特に何をするわけでもないけど、どこか心が弾んでいた。
あの日もそうだった。12月にしては暖かい日で、冬休みを迎えた学生や家族連れで通りは人で賑わっていた。通りを歩く人たちの笑い声や、屋台から漂う甘い匂いが少しだけ耳と鼻をくすぐる。空気は柔らかく、冬なのに冬らしくない温かさがあった。
焦凍との関係が安定してくるにつれて、私も自分のアパートで過ごせるようになっていた。片付けをしている最中に、勝己との思い出に触れても、感情が大きく揺さぶられることはない。懐かしさと、ほんの少しの寂しさが混ざった感情が静かに落ち着いていく。
「これでいいかな…。なんとか今年中に片付けられてよかった」
カーテンを開けて冬の冷たい風を部屋に通す。窓から入ってきた光が少しだけ眩しい。部屋にはもうあの日の重さはなく、ただ静かで、私は窓の外の街をぼんやり眺めていた。