第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 凪side
勝己に初めて焦凍を紹介された時、第一印象は〝クールなイケメン〟だった。もちろんヒーローとしての活躍は知っていた。緑谷君に比べてあまり表情に出さないし、きっと恋人の前でも冷静でデレたりしない人だって勝手に思ってた。
だけど、初めてキスをした夜からすっかり変わってしまった。隙さえあればくっついてきて離れてくれないし、好きだと何度も言ってくれる。
あの時の私が今の焦凍を知ると驚くだろうな…。背中に感じる大きな存在に、はにかみながらそんなことをふと思った。
「ねぇ焦凍…」
「どうした?」
「抱きつかれたままじゃ、洗い物ができないんだけど」
「ああ、悪い」
言葉ではちゃんと謝ってるのに、腕の力を緩めてくれる気配はない。
「……離れる気、ないよね?」
「少しだけな」
あっさり返ってくる声に、思わず小さくため息が漏れる。でも、その声がどこか満足そうで、責める気にもなれなかった。お腹に回された腕はあたたかくて、逃げようと思えば逃げられるのに、結局そのまま受け入れてしまう自分がいる。
「焦凍、重いよ」
「そうか?」
全然気にしていない声に思わず笑みがこぼれる。
「……前はこんなじゃなかったのに」
「何がだ?」
「もっとこう、クールで近寄りがたい感じだった」
そう言うと背中越しにわずかに動く気配がして、次の瞬間、肩口に額が軽く預けられた。
「今も変わってねぇ」
「嘘だ」
「……凪の前だけだ」
低く落ちたその声に、胸の奥がじんわり熱くなる。言葉にされるたびにちゃんと好きだと実感させられる。余白が全部、焦凍で埋まっていく。
「ずるい…」
「何がだ?」
「そういうこと、平気で言うところ」
振り返ろうとするとすぐに腕が少しだけ緩んだ。その隙に体をひねって向き合うとすぐ近くに焦凍の顔がある。近すぎる距離にまた心臓が騒ぎ出す。