【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第2章 旅路
夜。
森の奥、風を遮る岩場で小さな焚き火が揺れている。
炎を挟んで、キルアとテティスは向かい合って座っていた。
距離は取っているが、さっきまでより近い。
キルアは枝を放り込みながら言う。
「……野営、慣れてるな」
『一人が多いから』
「だと思った」
短いやり取り。
火がぱち、と弾ける音が沈黙を埋める。
キルアはふと、テティスの手元を見る。
湖の水を操っていた時と違い、今は何もしていない。
それでも、微かに“念の流れ”を感じる。
「無意識に、纏してる」
テティスが顔を上げる。
『……してた?』
「ああ。
力、抑える癖ついてるな」
評価するような口調だが、どこか感心も混じっている。
『……キルアは?』
「俺?」
キルアは自分の胸元を指で軽く叩く。
「常にじゃない。
危ない時だけ、入れる」
『それで、さっきの速さ?』
「まあな」
一瞬、間が空く。
テティスは焚き火を見る。
『……変化系って、扱いにくくない?』
キルアは少し意外そうに目を細める。
「珍しいな。
そこ、突いてくるか」
『操作系は、相性を考えるから』
「理屈派だな」
そう言いながら、キルアは小石を一つ拾い上げた。
小石を拾い、指で弾く。
その瞬間、パチ、と小さな音がして石が砕けた。
「変化系は、“性質を変える”」
淡々と、教える口調。
「俺の場合は、オーラを電気に近づけてる。
だから、スピードと反応に全振り」
テティスは目を逸らさずに聞いている。
『制御、難しそう』
「難しい」
即答。
「下手すると、自分が感電する」
『……怖くない?』
キルアは一瞬、言葉に詰まる。
「怖い時もある」
正直な答え。
「でも――」
視線を焚き火に落とす。
「止まる方が、もっと嫌だ」
その言葉に、テティスの表情が少しだけ和らぐ。
『……私の水も』
今度はテティスが話し出す。
『感情が乱れると、暴走する』
「さっきみたいに?」
『ううん。
もっと静かに、大きく。』
その言い方が、逆に危うい。
キルアは無意識に言っていた。
「怒らせるなってことか」
テティスは無言で肯定する。