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【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】

第5章 自覚と独占欲



小さな港町だった。

補給と情報収集のために立ち寄っただけの、
どこにでもある町。
人通りも多く、昼間は安全に見えた。

だからこそ――
油断した。

テティスが路地に入ったのは、ほんの数分。
水袋の修理を頼むためだった。

(すぐ戻ろう)

そう思った瞬間、
空気が、ひやりと変わる。

「……嬢ちゃん」

背後から、低い声。

振り向いたときには、
すでに三人。
逃げ道を塞ぐ配置。

(……集団で、か)

テティスは、水袋を持つ手に念を込める。
わずかに残った水が使えるはずだ。

一人が、テティスの手元を見る。

「その水……
 念だな」

心臓が、強く鳴る。

「操作系か?」

別の男が、口笛を吹く。

「当たりだ。
 最近、こういう“商品”が高い」

――商品。

その言葉で、
テティスの頭が冷える。

『能力者専門の人身売買組織…』

噂で聞いたことがある。
戦闘能力や希少な念系統を持つ者を攫い、
闇市場に流す連中。

(……私を、街中で見かけたのか)

男の一人が、にやりと笑う。

「ビンゴだな。
 水を操る操作系。
 そんで、白い髪の女」

値段を測る目。

その瞬間、
胸の奥で何かがはっきり音を立てて崩れた。


(違う)

(私は――偶然じゃない)


「逃げ場、ないぜ?」

男が一歩近づく。

そのとき――


「手、離せ」


低い声が、路地に落ちた。

一瞬で空気が張りつめる。

振り返ると、
キルアが立っていた。

殺気は抑えている。
だが、逃がす気は一切ない目。

「……連れか」

男たちが、距離を測る。

キルアは、テティスの前に立つ。

「連れだ」

それだけ。

――雷掌!!

雷が走った。

一人、二人――
声を上げる暇もなく倒れる。

残った一人が後退る。

「……チッ、クソが」

逃げようとした背中を、
テティスの放った水が、刃になり打ち据える。

短い戦闘。

終わったあと、
路地に残ったのは静寂だけだった。


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