【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第3章 過去
しばらくして
キルアの胸元で、
テティスが小さく呟いた。
『……キルア……そばにいて……』
寝言だ。
はっきりとした言葉じゃない
それでも――
キルアの胸の奥に、確実に届いた。
キルアは、目を閉じる。
(……聞かなかったことに、できねぇだろ)
仲間だから、じゃない。
合理的だから、でもない。
今まで他人を拒絶してきたテティスが
“誰か”を選んだ瞬間だった。
(いつの間にか……他人じゃ、なくなってたな……)
目を覚まさない彼女に、
キルアはごく小さく、低い声で言う。
「あぁ…俺…
俺が守るよ。テティス…」
テティスは返事をしない。
ただ、少しだけ、指に力が入る。
それで十分だった。
この夜を境に、
テティスは無意識に、キルアのそばを選ぶようになる。
危険な時も、不安な時も、
そして――心が揺れた時も。
それはまだ、恋じゃない。
でももう、代わりはいない場所に、
互いを置いてしまっていた。
――そして、この“特別”を嗅ぎ取る存在が、
遠くで、静かに笑う日が来る。