第3章 報告:伏黒恵の秘めた想いとは
帰りの車の中、すっかり日が落ちて暗い夜道を走る車の中から、はぼんやりと外の景色を眺めていた。
と同時に、任務の調査が嫌でも脳内に思い出し浮かんでしまう。
謎の白い部屋が出現し、そこで起こった出来事はまるで非現実的のようにも思えたが、···。
後部座席の隣に座る伏黒に視線を送れば、彼は目を閉じて眠っているようにも見えた。
(···そう、だよね)
人前、しかも異性の前で自らの性器を取り出し、達するまで致さなければならなかったのは、年頃の男の子にとってどれだけ精神的な負担が大きかった事だろう。
ショックも大きかったのでは、とは心配そうに表を歪めた。
「···あの部屋の中で、何があったのですか?」
ルームミラーから2人の様子を伺った伊地知は、の曇った表情から何かを読み取り、静かに問いかけた。
──何があったか···。
それは思春期の女の子が口にするのは恥ずかしいにも程がある物だった。
「···あ、!」
が口を開こうとしたその時、伏黒は死界からの手を握った。
一瞬、の鼓動が跳ねた。
伏黒を見れば、真っ直ぐに運転席を見つめている。
あらかた話すな、と言う事だろうか。
「それについては、俺から報告書で報告します」
「そうですか、分かりました」
伏黒がキッパリと告げたがはそれが伊地知に申し訳なく感じた。
「伊地知さん、心配してくださってありがとうございます」
「いえ、さ、もうすぐ高専に着きますから、今日はゆっくり休んでくださいね」
高専に着くまで、伏黒はの手を握り続けたままだった。