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【呪術廻戦】誰も知らない

第16章 【乙骨】八百比丘尼


予定通り、虎杖くんを一度殺し、そして反転術式で治した。
あとは僕以外の人間にも虎杖くんの死を上に報告してもらおうと先程出会った直哉さんに目をつけた。
その過程でこれも先程虎杖くんと一緒にいた人物には気絶してもらう。

「その死体、どうするん?」

反転術式で直哉さんの負傷も治すと、彼は尋ねてきた。
僕は冷静を繕う。

「これは僕が運びます。それとも直哉さんが運んでくれますか?」

直哉さんは鼻で笑う。

「そんなんするわけないやろ。これで会いたい人とも会われんくなったし、大人しゅう帰るわ」

そう言って姿を消した。
静寂が響くトンネルの中。
片手で掴んでいる虎杖くんに目を向ける。
反転術式で治したとはいえ未だ意識は戻らず、本物の死体のようにぐったりしている。
もうしばらくすればちゃんと起きる……はず。

「…リカちゃん。一度、拠点に戻るから虎杖くんを運んでもらってもいいかな?」

そう声をかければ背後からリカが姿を現し、虎杖くんに手を伸ばす。
先程気絶させた人物の様子も伺う。
息はある。
致命的な怪我はしていないようだ。
この人がパンダくんが言っていた自称・虎杖くんのお兄ちゃんなんだと思う。
渋谷で虎杖くんを殺そうとしていたのに、次に現れたときはお兄ちゃんを名乗り、虎杖くんを守るために戦っていたことは聞いている。

「…リカちゃん、こっちの人も一緒に運んで?」

僕の大切な人たちが大切にしている人を大切にしている人だ。
とりあえず、一緒に連れて行くことにした。

途中、彼が目を覚ました。
状況を探っている彼に「虎杖くんなら無事ですよ?一度死んでもらいましたが」と言えば一気に殺気が跳ね上がる。
それを見て、少しだけ口角が緩む。

(あぁ、この反応は本物だ)

すかさず、反転術式で治した事を伝えれば殺気は解かれたが「一体何がしたいんだ?」と問われてしまう。
そりゃ、この状況、何も知らされていない人はこういう反応になるよなーと自分でも思う。

「それは虎杖くんが目を覚ましてから話します。まずは僕らの拠点に来てもらいます」

そう言えば一瞬で彼の表情が曇った。
何かと思えば「回収したい人間がいる」そうだ。
まだ同伴者がいるのかとか、『人間』と言ったこととか、そういうことよりも彼の表情が虎杖くんを心配するものよりももう一段階上のもののように見えて、僕はそれを了承した。
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