白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】
第26章 ● 敗北の夜 ○
緒方のマンション前にタクシーが停まった。車内から芦原が心配そうに言う。
「星歌ちゃん、本当に大丈夫?」
「はい、私がちゃんと送りますから」
星歌は静かに微笑んで、緒方の肩を支えている。
風呂上がりの星歌が、こんな時間にオレの部屋に来る…。そう思うと、緒方の理性は少しずつ削られていく。エレベーターで2人きりになると、緒方は星歌の腰に腕を回して口づけた。
「…もう、飲みすぎだよ?」
「オレたちは恋人だろ?これくらい、いいだろ?」
「…ここじゃダメ」
困ったように星歌は答える。ここじゃなきゃいいのか…?緒方の欲望が再び大きくなっていく。
部屋に入ると、星歌は緒方をソファに座らせて、脱がせたジャケットを軽くたたんでテーブルに置く。その後、グラスに冷たい水を注いで差しだす。
「はい、飲んでね。こぼさないように気をつけてね」
緒方はそれを一気に飲み干すと、ソファに横たわる。横になるとまぶたの重さに気づいて目を閉じるが、星歌が慌てたように言う。
「こんなところで寝たらダメだよ!風邪引いちゃうから、ちゃんとベッドで寝なきゃ!」
再び星歌に支えられて歩く。頭の片隅では、星歌が寝室に入るのは初めてだな…とぼんやりと考えている。
緒方がベッドの端に座ると、星歌は少し安心したように見えた。
「それじゃ、私、帰るね、おやすみ」
その言葉を遮るよう、緒方は再び問う。
「オレたち、恋人だろ?」
星歌は驚いたような表情をするが、すぐに頷く。
「うん、そうだよ」
「恋人同士がベッドですることなんて、1つしかないよな?」
そう言った次の瞬間、星歌の手首を掴んで自分の方へ引き寄せる。星歌が「きゃっ」と小さく声を上げたときには、もうベッドの上に仰向けに押し倒していた。