第48章 祭典と籠
メカ丸
京都校の生徒で、教師をしていた頃から接点があった相手だ
京都で大規模な帳が降りた事件のあと、保田の入っている医療棟で偶然顔を合わせたとき、彼は自分から話しかけてきた
保田の腕を失ったことを気にかけていた紅海に、傀儡を作れる技術者を紹介してくれたのも彼だった
あのときの会話を、今でも覚えている
必要な情報だけを、静かに伝える声
少し距離を置いた態度
それでも、紅海の話を聞き、選択肢を示してくれたこと
『……メカ丸くんが、内通者?』
「うん」
五条は頷いた
「呪霊側に情報を流してた…詳しい事情はまだ全部分かってないけど、少なくとも、そういうことをしてたのは間違いない」
紅海は、膝の上で手を組んだ
驚きがないわけではない
むしろ、思ってもいなかった事実だった
けれど、五条がわざわざ自分に話しているということは、単に内通者が判明したというだけではないのだろう
『……それで、メカ丸くんは?』
「捕まえようとしたんだけどね」
五条は、頬杖をついた
「もう、いなかった」
『いなかった……?』
「うん、居場所を確認して動いたんだけど、すでに消えてた
今のところ、行方が分からない」
紅海は、五条の顔を見つめた
『……逃げちゃったの?』
「そういうことになるね」
五条の口調は淡々としていた
事実を伝えているだけで、必要以上に感情を乗せない
けれど、紅海には分かった
五条は、この件を軽く考えているわけではない
内通者がいると分かってから、ずっと調べていたはずだ
その相手を捕まえられなかったことも、今後の危険性も、十分に理解している
『……そっか』
紅海は、小さく息を吐いた
『メカ丸くんが……』
言葉が続かなかった
怒りというより、困惑に近かった
どうして
何のために
そうした疑問が、次々と浮かんでくる
けれど、今ここで考えたところで、答えが出るわけではない