第48章 祭典と籠
自室…
隣の部屋の五条はまだ帰ってきていない
ソファに腰を下ろすとタイミングよくスマホの画面が明るくなる
紅海は指でスライドさせて電話に出る
『はい、もしもし』
「ねえ、紅海ちゃん」
スマホ越しに、太田の声が弾んだ
『ん? どうしたの、太田さん?』
「今度さ、ハロウィンカフェに行かない?」
『ハロウィンカフェ?』
「そう! 期間限定のやつ、すごく可愛いメニューがあるんだって」
紅海は、手元の学生達の資料から顔を上げた
『えー、なにそれ!行きたい!』
「でしょ?それでね、私たち夫婦で行こうと思ってるんだけど……」
そこで、太田は少し声を弾ませた
「五条さんも誘ってきてくれない?」
『……えっ?』
思いがけない名前に、紅海の返事が一拍遅れた
「四人で行った方が楽しいでしょ?せっかくだし、みんなで行こうよ」
『あ、うん……そうだね!』
紅海は、慌てて笑った
『でも、悟忙しい人だから、誘ってみるんだけど…もしかしたら無理かも?』
「その時はその時!ね?お願いしてもいい?」
『うん、聞いてみるね!』
「ありがとう!楽しみにしてるからね!」
通話が終わった
紅海は、スマートフォンを持ったまま、しばらく画面を見つめていた
悟を、誘う…別に、難しいことではない
今までだって出掛けてきた…一緒に出かけるくらい友達として普通のことだ
今さら、何を意識する必要があるのだろう
『…………』
紅海は小さく息を吐き、スマートフォンを置いた
…大丈夫
今まで通り
悟も、そう言ってくれたのだから
そう自分に言い聞かせて、紅海は席を立った