第48章 祭典と籠
別にアレからお互い喋らなくなったわけではない
悟とは今まで通りだ…くだらないことで笑う
気まずい雰囲気にもなっていない…多分
『…えっと…ほら、監視が解けたら、私も好きに動けるでしょ?』
硝子は、しばらく彼女を見ていた
「まあ、そうだな」
それ以上は追及しなかった
紅海が何かを隠しているのは分かった
「とりあえず、私からは、体調、呪力面の書類提出は出来るが、監視が解除できるかは約束できないよ?」
『ほんと? ありがとう、硝子!』
紅海の顔が明るくなる
その笑顔を見ながら、硝子は思った
こいつ、五条と何かあったな
けれど、今の段階では、それ以上のことは分からない
「で、五条とはうまくやってんの?」
『えっ?うん!いつも通りだよ?』
返事が、食いぎみに早かった
硝子は目を細めた
「ふーん」
『な、なに?』
「いや…別に」
硝子は再びカルテを開く
「まあ、何かあったら話せよ」
紅海は、ふっと笑った
『うん…ありがとう』
無言…頭の中を整理して
それから口を開く
『…この間、皆で飲んだ次の日に、悟と一緒にいて楽しいなって思ってたら、つい言っちゃったんだ』
「何を?」
硝子は足を組み直す
『悟といると前向きになれるし…やっぱり好きなんだって…これからもずっと一緒にいられたらいいのに、って』
「ほう…」
意外だった…紅海が、自分の気持ちに気付いていたとは
五条は、紅海を好いているし…まぁ良いんじゃないか?
と考えていると
『悟は、今のままでいいよねって言われて
だから、そういう事なんだと思う』
ん??
『今まで悟に甘えてたんだなって
困らせたくないし、気を遣わせたくもないから
…これからも今まで通りの友達でいようと思ってる』
完全に紅海は五条に振られたと思っている
だが、五条は何を考えて返事をしたのかは解らない
「それで、友達に戻るって?」
硝子はカルテから目を離さずに尋ねた
『うん、今まで通りにしていれば気まずくならないだろうし』
「……面倒くさいな、お前ら」
『え?』
「五条もお前も、揃って肝心なところで面倒くさい」
『ふふっ、そうかな?』
「そうだよ…まあ、何かあったらまた話せ」
硝子はそう言って、再びカルテに目を落とした
紅海はその横顔を見つめ、少しだけ肩の力を抜いた