第35章 外出と神社
「むしろ、他人が勝手に申し訳なく思ってる方が、余計なお世話まであるだろうから」
『うっ……』
硝子は小さく笑う
「昔からそうでしょ?だから、紅海が気に病んでるの、多分あいつの想定外」
「何で申し訳なく思ってんの?」と本気で首を傾げる悟
容易に想像できた、2人で一緒に笑う
『……あり得る』
「でしょ?」
診察室の空気が少し和らぐ
そして紅海がぽつりと言う
『……いつも、聞いてくれてありがとう』
「別に…」
『硝子~っ!』
突然、紅海が抱きついた
ぎゅうっ
「うわ!」
『ありがとぉ……』
「重い重い」
『重くないもん……』
「精神的にだよ」
『えーっ!?そんな事ない!』
そう言いながらも、硝子は引き剥がさない
昔からだ
紅海は、たまにこうやって甘える
普段は気を遣うくせに…限界が近くなると、急に人肌を求める
「紅海さ、周りが自分のために動いてくれる理由、全部"申し訳ない"に変換してるでしょ」
図星だった…紅海が黙る
硝子は小さくため息をつく
「五条も私も他の奴らも、紅海が思ってるより、申し訳なく思われる方が困るんだけど?」
紅海は何も返せない…ただ、抱きついたまま目を伏せる
高専時代から変わらない
誰かを大切にすることには慣れているのに
自分が大切にされることには、いつまで経っても慣れない
本当、面倒な子…
硝子は小さく笑った
紅海の頭を軽くはたく
『えへへ』
紅海もつられて笑う
『硝子、ありがとね?』
抱きついていた腕を離し、紅海が少し照れくさそうに笑う
「ん…」
硝子は短く返事をする
その笑顔を見ながら、内心でため息をついた
――似た者同士なんだよな
紅海と五条
孤独の種類は違う
だが、根っこの部分は妙に似ている
紅海は、幼少期から自分から助けを求められず孤独で
自分が迷惑を掛けることを極端に嫌う
五条は、最強を背負う側が故の孤独で
自分の弱みを見せることを極端に嫌う
どちらも孤独だ
そして、孤独なくせに助けを求められない
だから、妙なところで噛み合う
そして、妙なところで、すれ違う