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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第30章 呆然と失墜



══モニタールーム══
モニター越しに砂煙が揺れる
「……速い」
伏黒恵が短く呟く
「紅海ちゃん、やっちゃえー!」
釘崎野薔薇が、とにかく紅海を応援する

「もはや特級としては、ウォーミングアップじゃね?」
真希は画面から目を離さず言う
「いや違うな…あれ―2人とも本気でやりあってる」

背後から気だるい声が聞こえた
「ま、いい教材になるだろ」

その声に生徒達が振り向く


「日下部先生、いたんですか…」
「2年が全員コッチいたら、授業できんからな
…個人的にも興味がある」
日下部篤也が缶コーヒーを片手に立っていた


「術式無し、領域展開なし」

画面を顎で示す

「その上で呪力強化のみ許可…つまり純粋な体術戦だ」

拳と蹴りが交差する映像
受け流し、崩し、重心の奪い合う
「普通なら五条が勝つ」

野薔薇が即答する
「でしょ…あの人最強じゃん」

日下部は首を横に振る
「術式込みならな」

一瞬、室内が静まる

「フィジカルも鍛えてるだろうが
五条悟の強さの核は無下限呪術と六眼だ
だが今はそれが無い」

画面では紅海が低空回転から足払いを仕掛けている
五条が体勢を崩しかける

真希の目が細くなる
「……あの動き」

「気づいたか」
日下部が笑う
「流鏑馬は元々、術式に依存しない戦闘型だ…」

モニター越しでも分かる
無駄がない動き
生徒達は紅海の本気の戦術を初めて見る

「“身体に使う呪力量”の操作が異常に上手い」
日下部の言葉に伏黒が続ける
「つまり……条件次第じゃ――」

拳と蹴りが正面衝突する
砂煙が爆ぜた
「ひょっとしたら流鏑馬先生が勝つ」

モニタールームの空気が変わる
誰も否定しなかった

――森が広がるフィールド
砂煙の中に同時に踏み込む二人

拳、蹴り、受け流し、
術式が無いからこそ剥き出しになる

五条が笑う
「ねぇ紅海……楽しい?」
紅海の蹴りが返答代わりに振り抜かれた
「……最高っ!!!」
次の瞬間
衝突し砂が空へ跳ね上がった
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