第3章 静けさ
正直容姿には自身がある。
このコーディネーターの中でも。
セレンは無邪気にイザークに話しかける。
「それでお兄様ったら女の人に見つからないようにこーんな小さな箱に隠れたんですよ!!」
家族の仲睦まじい話を楽しそうに話す。
それに合わせてイザークも楽しそうに相槌を打つ。
シホは仕事だと言わんばかりに笑みを浮かべることなく無表情で黙々と食事を口に運ぶ。
それにしてもいちいちの動作が気に入らない。
何も知らないかのような無邪気な笑顔、時々隊長に触れる手、子供っぽい仕草が多いのに細くしなやかな肢体に大きな胸、メリハリのある体つき。
そのギャップから色んな男はすぐ虜になってしまうだろう。
だが隊長は違う。
そんな表面的なところで人を判断しないし、何より彼女には黒い噂がある。
実の兄と公にできない関係にあるとーーー。
「シホさん?」
覗き込まれてギョッとする。
まさかこんな素人が背後にいても気づかないとは。
「どうかなさいました?顔がこわばっているような。」
「お気遣いなく。失礼しました。午後からは予定がありませんがご自宅へお戻りになりますか?」
そのままずっと家に引きこもっていてくれてたらいいのに。
「いえ、午後はミレニアムの見学が可能だとか。イザーク様も一緒に行ってくれるとのことですので。」
「・・・・わかりました。」
どうせすぐ離婚するだろう。
賢い隊長がずっとこんな中身のない女といることはないのだから。
「こんなにわかりやすく迷子にさせるなんて。」
イザーク、シホを含む少人数のザフトの人員だけでミレニアムの見学を行っていたはずがいつの間にかひとりぼっちにされた。
おおかたシホの仕業だろう。
ザフトから出向メンバーがいるとはいえ、関係者ではない者がうろちょろしていてはいけないと言うのに。
「わかりやすいんだから・・・」
シホという女がイザークを好きなのは会った瞬間からわかった。
私が演じている子供っぽい性格がより一層気に入らないんだろう。
宇宙を見渡せる少し広い空間。
きっとクルーの息抜きのために作られたのだろう。
「原初、海と風があった。海に住む魚の人は星々を渡る海の人にこういった。空を飛べはしても海の深さを知らないだろうと・・・。」
母の島に伝わる伝説。
「それは?」