第2章 革命の芽吹き
「とはいったもののぉ……」
木影から見下ろすグラウンドは、怪我人だらけの惨状だった。
マネージャーとおぼしき女子生徒が声をかけ手当に当たっているが、それでも目が覚めない者もいた。
ただ1人、派手な改造学ランを着た少年だけがサッカーボールに囲まれ、背を伸ばしている。
「(うわ〜……京介、初日から飛ばし過ぎでしょ〜……)」
派遣先でのサッカーの管理の方法については、各々の判断に委ねられている。
僕のように隠密に監視だけを目的とする者もいれば、今の京介のように武力行使で制圧にかかる者もいる。
シード としての訓練を受けている少年達の実力は平均以上、少なくともどんな学校でもエースや主力を担えるだけのカリキュラムを修練している。
なのでその力を遺憾無く発揮すれば、このような惨状を生み出すこともザラなのだ。
白地にラインのシンプルなデザインとイナズママーク、黄色のハーフパンツのユニフォーム。
おそらく、彼らが雷門のセカンドチーム。
1本に伸びた髪をはためかせる京介の足元で倒れている少年の腕には、緑色のキャプテンマーク。
薄灰色の髪の彼がこのチームのキャプテンなのだろう。
「クソッ……なんで……」
「……なんで?愚問だな。俺の方が強かった、それだけだろう」
上級生相手にも高圧的で不敵な物言い。
普段の寡黙で冷静な彼を知っていると、まるで白竜が降りたみたいだなと思う。
実際彼のことなので多少参考にはしていそう……というか、彼の周りにいるそういう振る舞いができそうな人物が白竜くらいしか思い当たらない。
いくらサッカー部の動向を監視し従わせる必要があるとはいえ、ここまで療養が必要な程の怪我をさせる必要があるのかは疑問が残る。
シードの中にはこうして見せしめを行うことで、サッカー部そのものの存続を絶たせるという手を使う者がいないわけではない。
実際必要とあればフィフスセクターから人員を補充することもできるし、そうして出来上がった全く新しいチームもいる。
それでも、京介がそんな横暴な手段に出るとはにわかに考えにくかった。
……彼にも、何かしらの事情があるのだろうか。