第3章 そよかぜの共鳴
外を歩いていた時から随分と大きな建物があるなと思ってはいたが、どうやらまるごとサッカー部の持ち物らしい。
サッカー棟と呼ばれたその建物は一言でまとめると『でっかい部室』らしく、自慢なのか不服なのかわからない声色で説明された。
冬海校長の案内の元、屋内コートの観覧スペースに案内された僕は思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
「サッカー部の為にここまで……流石は名門校、ですね」
「いやいや、過去の栄光ですよ」
「(お前達が過去の出来事にしたんだろ)」
自ら理事長と名乗り出た金山という男は、いちいち余計な一言が多い。
派手な黄色のスーツに驕った様子のいかにもといった風貌だが、使命の為には目を伏せて接さざるを得ない。
耐えろ、僕。
実際屋内の専用コートはもちろんのこと、そのコートに特別観覧席を設けるような学校はそう多くはない。というか、作れないというほうが正しい。
それほどまでに雷門の名がサッカーに与えた影響は凄まじく、部活動を後押しする人間が絶えないことの証明だった。
コートで繰り広げられている試合は互角……かに思われたが、そこはフィフスセクターからの使者達。
開始早々雷門キーパーに反応させることなく1点を決めたかと思えば、そこからは一方的なリンチにも近い試合展開だった。
5、6、7点……次々とゴールにボールが突き刺さっていく。
「サッカー部はこの試合、諦めたのですかね」
「おや、彼は……」
「……天馬くん?」
選手交代が起こったかと思えば、黄色い一軍ユニフォームを身に纏った天馬くんがそこにはいた。
交代された選手は、僕の記憶が正しければ雷門のエースストライカー 3年生の南沢さんだろう。
先の一件で片鱗はあったものの素人同然であることは明確であり、誰から見ても不可思議な選手交代だった。
というか、彼はもう部員として数えられているのだろうか。