第2章 第二話
「ヨークさん、喜んでたね。よかったね」
「えっと…、あ、レイニーちゃんにさっきのお金を渡さないと」
「いいよいいよ、だって、あの帽子はシアンのでしょ」
「わ、私のかな…」
どう答えたらよいかわからず、濁してしまった。
あのシルクハット、ただの帽子じゃないんだ…
「あ、やっぱり、レイニーちゃんに受け取ってもらう。あの…家に置いてもらってるから…」
そう言って、私は再びレイニーちゃんの手に押し込んだ。
「えーー。いいのに。働いてもらってるし」
「あれくらいじゃ、足りないの。私、すごく助かってるの」
そう言って、それ以降は何と言ってもそのお金を受け取らなかった。