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音楽室の赤リボン

第1章 零


「記憶喪失」



記憶を失くした僕へ。

やあ、こんにちは。っていうのも変かな。記憶が無くなって、戸惑ってる?僕に限ってそんなこと無いと思うけど。

兎も角、今これを読んでいる僕は運悪く僕の記憶を失ってしまった。僕からは半永久的に記憶が失くなることも思い出せない。だから枕元に置いてあったこのノートを読んでいる。そうだろ?
僕もそれを予想してこのノートを用意しようとした訳だからね。ひとまずこのノートを読んで、状況がある程度呑み込めたら他のノートも読んでみてほしい。君が、僕が必要な情報はあらかた残しているから。

早速だけど、僕は生きてるし死んでいる。僕は今の僕を半霊と呼んでいる。
僕はずっと前に死んで怪異になったんだけど、いざ転生する時に色々あって、怪異の僕と新しい僕が反発し合ったのだと思う。結果どっちでもありどっちでもない存在、半霊になった。

前世やただの怪異として過ごした時間を含めてもそれなりに長く存在している僕だけど、その記憶の殆どは失われている。普通は記憶を無くしても、思い出せないだけでそこにあるって言うでしょ?でも僕は違くて、1度失ってしまえば記憶は戻らない。絶対に思い出せない。
だから、ノートが必要なんだ。
部屋にあるノートの殆どは僕の記憶だ。忘れたくないこと、忘れてはいけないこと、全部書いてある。

最近、僕が忘れるはずのない記憶まで消えてしまうことが増えた気がする。昔のこととか、おさななじみのこととか、自分のこととか。
本当は⬛︎⬛︎⬛︎たくない
こわく⬛︎い 大丈夫

怪異でいる時は、記憶が飛ばない筈なんだ。なんで
僕の大切な人達だけは、どうか、わすれないでください。

何度でもいいから、頭に叩き込んで

わすれないで

がっかりさせないで

普通の花咲夢乃でいてください



以降は記憶が失くなったので書けませんが、ここまで読んだ僕ならきっと分かるでしょう。
大丈夫、僕には僕がついてるよ。
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