第5章 カミングアウト
その後は徹の家に寄った。
両家とも親は多忙なのか、当然のように顔馴染みが出てくる。
「徹、はい北海道土産」
「北海道?うわ〜嬉しい〜」
お土産をまとめたポリ袋をガサガサと覗きながらありがとうと言う。
なんだかんだ優秀な選手だからテレビに出たりもしてて「華やかなルックス」とアナウンサーに言わせるのも納得の顔ではある。
「…○っちゃん」
「ん?」
「岩ちゃん家先に行ったでしょ」
「…………」
嬉しそうな、でも含みのある、嫌な笑顔。
…だからこの男は、嫌なんだ。
きっと最初から全部わかっていたし、今も大方察したのだろう。
私が吹っ切れたことを。
「…そういうところうざい。し、キモい」
「言い方!本当に岩ちゃんに似ていくよね!お前!」
「女の子にお前とか言うのどうかと思いますー!」
「自分を棚に上げるんじゃない!」