第4章 とある秋の夜
ボコッ
公園の砂に硬いバレーボールが当たり、激しい砂煙が上がるとともに、鳴ってはいけないような音が響く。
これ大丈夫なの?と聞く声を無視して、ボールを拾い上げてもう一度渡す。それを何度も繰り返す。そのうち○○も何も言ってこなくなった。
何度も。何度も。投げて、打って、拾って、渡して。冷え込んだ夜だというのに、汗が滲むほど。
「…ねえ」
「……あ?」
「どんだけやるつもり?…帰んないの?」
「………おまえが」
「?」
「お前が帰りたくなるまで」
ボールがコロコロと転がる。
俺はそれを拾って、また○○の手元に持っていく。
それを受け取りながら○○は「なにそれ」と笑った。
ーーーあ…
やっと笑ってくれた。