第3章 吹っ切れる
「お疲れ様。今日も練習?」
「…ッス」
一言で言うなら大人の女性。
落ち着いた雰囲気でふわりと笑う顔に、似合わないほど無邪気な声。それが何故だか驚くほど居心地を良くしてくれて、自然と目で追ってしまう。
この気持ちに気づいてしまったのはいつだったか、もう覚えていないけど、叶わないとわかっていても、やめることもできなくて。
「岩ちゃんいつもありがとね〜♪練習付き合ってくれて」
「まあ、いきなり引退ってもやることもねえしな。勉強漬けもきついし息抜きくらいには付き合ってやるよ」
「まじ感謝!」
「でもお前の言い方だんだんイラついてくるからジュースの一本くらいは奢らせてえわ」
「ちょっと!?」
「ふふ、やっぱ仲良しだねえ」