第2章 おうちデート、ただし条件付き
ソファの上で抱きしめ合っていると、ふいにカナタが顔を上げた。そして、懇願するようにまぶたをゆっくりと閉じた。
「…カナタ…何度言ったら——」
全てはほんの一瞬だった。
柔らかな口づけに思考が停止し、瞬時に我に帰って慌てて身体を起こした。
あれだけ気をつけていたのに。だめだと言っていたのに。
罪の意識と後悔で気が気じゃない天使の悪魔は、カナタを睨むことしかできなかった。
鼓動の激しさすら煩わしかった。
「カナタ、なんで…だめって言っただろっ!」
カナタは余韻を確かめるように指先で唇をなぞりながら、嬉しそうに頬を緩ませた。
こちらは理性でブレーキをかけているのに、カナタは衝動的でアクセル全開、まるで正反対である。
「…ね、今のでどれぐらい寿命減ったの?」
天使の悪魔には、カナタがどうしてそんなに平気な顔をしていられるのか理解できなかった。
「…五十年」
嘘。実際は一ヶ月である。けれど、釘を刺すためにものすごく盛った。
「うわ、見た目二十代でおばあちゃんになっちゃった」
飄々としているカナタに対し、今度は苛立ちを覚えた。
「なんでそんなに嬉しそうなの?キミ、寿命減ったんだよ?」
「嬉しいよ。天使くんが好きだから」
誘うような目つきで呑気に寝転ぶカナタを、天使の悪魔は精いっぱい怖がらせるつもりで睨みつけた。