第2章 おうちデート、ただし条件付き
制限時間五分。
「もし……僕がキミに触れられるなら、まずその腫れたまぶたに触れて、涙を掬うんだ」
カナタはキョトンとしながら、天使の悪魔をじっと見つめた。
「キミは単純だから、それだけで機嫌がちょっと治る」
天使の悪魔が悪戯っぽく笑いかけると、つられてカナタも小さく笑う。
「それから、サラサラな髪に触れて、そして——」
カナタの唇にブランケットを被せ、その上から天使の悪魔は唇を重ねた。カナタは驚いて目を丸くする。
互いの体温を唇で伝え合ってから顔を離し、天使の悪魔は取り繕うように笑った。
「——そうやって照れるキミの間抜けな顔を楽しんで、僕は満足して帰るのさ」
ブランケット越しに感じる体温が熱かった。
天使の悪魔はカナタから離れようとするが、カナタは腕を伸ばしてそれを許さない。
「…もうすこし…だけ」
そんなわがままに、ため息をひとつ。
「…ほんとに少しだけだよ?」
応えるように、天使の悪魔も抱きしめ返した。甘い香りとカナタの体温が、胸の空白を満たしていく。
「天使くんって、実は結構マイナス思考?」
「キミこそ、さっき泣いてたじゃないか」
「だって、ずっと一緒にいたいんだもん」
カナタは腕の中で、ぽつりと本音をこぼした。
「天使くんはさ、気にしすぎだよ。どうしてそんなに臆病になってるの?」
「逆に、危機感持たないキミがすごいんじゃない?」
「だって、ほら、大丈夫でしょ」
身体を寄せ、背中に回した腕に力を込めるカナタ。
カナタは死と隣り合わせだというのをまるで恐れていない。
今すぐキスをできてしまう距離だというのに。