第2章 おうちデート、ただし条件付き
「それを聞いて僕がどう感じると思う?もしキミが僕だとして、小さな子猫が手にじゃれついてきたら、寿命を吸いながらかわいいねって喜べるのか?キミはわがままだ。わがままで想像力がない」
必死になって叱っているのに、カナタはゆっくりと起き上がり、天使の悪魔のそばへ寄る。カナタはなおも嬉しそうに微笑んでいて、反省の色がまるで見えない。
「そんなに怒らないでよ。たったの寿命五十年で、好きな人とキスできるなら本望ですから」
「そういうことを言ってるんじゃないんだけど」
分かり合えないのは悪魔と人間だからなのか、人間同士なら価値観が合うのか。天使の悪魔はもう何もかもわからなくなってしまった。
「…キミには、亡霊になってほしくないんだ」
「死んでほしくないってこと?」
「まあ、そんなところ…」
命を奪って武器にした人たちが、恨めしそうに夢に出てきてうなされることが時々あった。
罪悪感が見せるものだと分かっていても、気分のいいものじゃない。ましてやそこにカナタが加わるなんて、とてもじゃないが耐えられないだろう。
「はぁ……」
うなだれて、一ヶ月分のため息をつく天使の悪魔の横で、カナタはぽとりと思いをこぼした。
「あたしはさ、本当は死ぬはずだった。でも天使くんが悪魔から助けてくれたから、今こうして生きている」
カナタが懲りずに肩に頭を乗せてくるので、天使の悪魔は諦めにも似た気持ちで、何も言わずにそれを受け入れた。
「だから、残りの寿命は天使くんにあげるって決めたんだ」
「なら、生きてよ。少しでも長くね」