第2章 おうちデート、ただし条件付き
食事のあとは映画鑑賞。
映画館っぽくしようという話になり、電気を消し、テレビの音量を大きめにして、二人掛けのソファで並んでカップアイスを食べた。
天使の悪魔はチープなゾンビ映画に辟易しつつ、なぜこれを選んだのかカナタに聞くと、「ゾンビとか好きそうだから」と、これまた安直な答えが返ってきて、思わず肩をすくめた。
けれど、退屈な映画を観ながらカナタと並んで過ごす時間は、思いのほか居心地がよくて嫌いじゃなかった。
平和とは、退屈を噛みしめることなのかもしれない。
鑑賞中、ふと視界の端に視線を感じて、天使の悪魔は顔をカナタへと向けた。すると、カナタはブランケットを二人の膝にかけてから、そっと身体を天使の悪魔に寄せてきた。
「直接触らなきゃいいんだよね?」
天使の悪魔が頷くと、カナタは天使の悪魔の肩にこてんと頭を乗せた。
「近づくの怖くないの?」
「うん」
「やっぱり、キミって変わってる」
素肌に触れないよう慎重になりながら、翼でそっと華奢な背中を包み込む。カナタは嬉しそうに肩に頬擦りして、視線をテレビへと戻した。
そんな無邪気な恋人を横目に、天使の悪魔は気づかれぬよう細く息をついた。
触らないように注意を払い、どうしても意識してしまう本能的なあれやそれを抑えつけながらの映画鑑賞。
ある種拷問のようなもののはずなのに、信じられないくらい甘美でもあるこの時間に思考が溶けかけて、バニラの冷たさで意識をリセットした。
溶けていく甘さの余韻を舌の上で感じていると、カナタがそっとスプーンを差し出し、天使の悪魔の口元へ運んでくる。
「たべてみて」
言われるがままに、アイスを口に含んで味を確かめた。