第2章 おうちデート、ただし条件付き
「あげるって言ってるのに利用しないんだ?優しいんだね、悪魔なのに」
「天使でもあるからね」
ちょっとした皮肉もあっさりとスルーされてしまい、カナタは不平不満を吐き出すように、大きくため息をついた。
そんなカナタの顔を見やり、天使の悪魔は食事の手を止める。
「あのさ」
呼ばれて、むくれ顔のままカナタは視線を上げた。
「ソースついてるよ」
言いながら、天使の悪魔が腕を伸ばす。指で触れようとして、ハッとしてテーブルのティッシュを手に取り、カナタの口の端を拭いた。
天使の悪魔の表情に、一瞬翳りが見えた気がして、それ以上カナタは不満を口にできなくなってしまった。
「ありがと…」
俯くカナタを見てから、天使の悪魔は視線を料理へと移す。
「ところで、これどうやって作ったの?」
ハンバーグ、付け合わせの蒸し野菜、コーンポタージュ。天使の悪魔が来るからと、カナタが用意したおもてなしメニューだ。
実はハンバーグは何回か練習しているが、カナタはそれを隠して得意げに言う。
「どうやってって、レシピ通りに材料混ぜて焼いただけ」
「ふ〜ん」
「気に入った?」
「…うん」
無表情で頷く天使の悪魔。目を伏せた拍子に長いまつ毛が揺れる。
それだけでドキドキさせるのはずるい。
自分ばかり振り回されている気がして、カナタは妙な悔しさを覚え、心の中であっかんべーをした。