第17章 17才
私は家までの帰り道を歩く。
彼は自転車を押して私の斜め後ろを歩く。
家が近くなるにつれ私の足取りは重くなる。
「ゆめちゃん」
彼が私の名前を呼ぶ。私はちょっと立ち止まり振り返る。
「僕はいつでもゆめちゃんの味方だよ。君が望むなら…僕は何だってする」
「…うん」
上手く返事が出来なくて私はただ頷いた。
家の前に着く。
「送ってくれてありがとう」
「うん。また明日ね」
「また明日」
家の扉を閉める時、もう一度彼の顔を見る。
自転車にまたがってハンドルにもたれながら彼は小さく手を振った。
私もちょっと笑って手を振った。
fin