第2章 恋愛相談
「オマエまったく才能ないな。下手過ぎ!」
自販機のベンチでジュースを飲みながら北城くんが笑う。
「あんなにたくさんボタン押せないよ、同時に」
出来な過ぎて全然ストレス解消にならなかった…。
「ていうか彼氏どうしたんだよ。毎日あのダサい彼氏と帰ってたんじゃねーのか?」
北城くんが痛いトコを突いてくる。
「ダサくないよ!っていうか…ケンカしてるの」
「けっ。ザマァ」
「……」
私は怒ったフリして北城くんをにらむ。
「なんでケンカしたんだよ」
北城くんが興味津々て顔をする。
「べつに…そんなこと北城くんに話したってしょうがないし」
「男の気持ちが知りたいなら男に聞いてみるのもアリだろ?」
すごい。そうかもしれない。なんか論理的だ。
ちょっと話してみよう。
「実はね…彼、ムッツリスケベって感じで」
「くっだらねー!ベッドの下にエロ本でも隠してんのかよ」
「…北城くん透視能力かなんかあるの?」
「マジでそんなことかよ。そりゃ文芸部でもエロ本ぐらい読むだろうが。男なら」
北城くんが少し呆れた顔をする。
「オマエもそれぐらいわかってやらないとダメだぞ。まぁ女からしたらそういうの嫌だっていうのもわかるけどな。理解しないと」
なんか説教された!
「でもさぁ…なんか私の変な写真もあって。彼の部屋で私が寝てたときに撮られたみたいで」
私がそう言うと、北城くんがちょっと驚いた顔をする。
「…おいおい。男の部屋で寝たらダメだろ。オマエそれ何やられてもしょうがないぞ」
私は首を傾げる。
「うーん。わたし的には何やられてもいいっていうか…むしろしたいっていうか?
でもそういうことしないでなんか変なことばっかりするというか…。
写真だって言ってくれればある程度は…」
「オマエ馬鹿か」
私の話を遮って北城くんが言う。
私は抗議する。
「いや、北城くんも同じぐらいバカでしょ?」
「いや!オマエの方が馬鹿だ!
ていうかもう帰れ!
こんなトコうろうろしてたら不良に絡まれるぞ」
急にお父さんみたいになる。
「ていうか今不良に絡まれてるんじゃ?
あ、絡んだのは私か」
「いいからサッサと帰れ!宿題しろよ!ジュースごちそうさん!」
…
北城くんに相談してなんかスッキリしたなぁ。
家路につく足どりが軽くなった。
fin