第16章 夢の話
「まあでもゆめちゃんが妊娠してるなら僕も料理ぐらいはしないとね。今から練習するか」
彼がうんうんと頷く。私は続きを話す。
「そして手をつないでお散歩に行ったの。えへ。なんか幸せだった」
「うん。僕も嬉しいな…ふふ。きっと正夢になるね」
彼が嬉しそうに私の顔を見る。
私は思わず吹き出してしまう。
「ふふっ…妊娠したって言ったらあんなに焦ってたくせに」
「それは…将来と今では全然違うよ。まあ…今そうなったとしてもなんとかするだろうけど…」
彼がちょっと真面目な顔で言う。
「なんとかって何?どうするの?」
私は彼の顔を覗き込んで尋ねる。
彼の顔が赤くなる。
「もう…朝から勘弁してって…」
そう言って彼は歩く速度を早めて私を置いていった。
「あっ、待って!ごめんって!待ってー」
私は小走りで彼を追いかけた。
fin