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逢坂くんの彼女

第16章 夢の話


「おはよう!逢坂くん」

「おはよう…何かいいことあった?」

朝の待ち合わせ場所に現れた私に彼が言った。

私、顔がにやけてたのかな?

「えへ。ばれた?今朝、いい夢見たの」

私はにこにこして言う。

「へぇ…どんな夢?」

逢坂くんが私を待っている間に読んでいた本をしまいながら尋ねる。

「妊娠したの!」

私がそう答えると、彼は本をカバンにしまい損ねて地面に落とした。

「え…?ええぇ…?」

ちょっとアタフタしてる。

「夢の話だよ?」

私は改めて前置きする。

「そうだったね…。うん、そうだった…」

彼は納得しながら本を拾ってカバンにしまう。

「ところでそれはその…当然僕の子なんだよね?」

「え?疑ってるの?」

彼の質問に泣きそうなフリして私は答える。

「いや…あの…。そういうデリケートな冗談で僕をからかうのは勘弁してくれないかな…」

「えへへ。ごめん」

私たちは話しながら学校に向かって歩き出す。

「私たち夢の中で結婚しててね」

「うんうん」

私が話し出すと彼は嬉しそうに頷く。

「休日の朝、寝てたら逢坂くんが帰ってきて…。あ、逢坂くん…って私が言ったら…君ももう逢坂だよ…って」

「へぇ…いいね」

彼がちょっと頬を赤くする。

「というか僕は休日の朝からどこに行ってたんだろうね」

彼が疑問を投げかける。私は答える。

「会社だって。休日出勤。スーツ着てたよ」

「会社かぁ…。しかも休日出勤。夢の中の割りには…世知辛いなぁ」

彼が胸を傷めている。

「あ、でもね。逢坂くんは既に作家デビューしててね。収入が安定しないから会社勤めをしてるけどそろそろ専業作家になれそうだって」

「なるほど…。夢がありそうで現実的というか…。女の人が見る夢ってすごいね…」

彼が深く感心する。

「それで仕事から帰ってきたばかりなのに逢坂くんがお昼ご飯を作ってくれてねぇ」

「…すごく働き者なんだね、僕は」

彼がちょっと驚く。

「すごく美味しかったの!」

「味がするんだ!夢の中で」

彼が再び感心する。

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