第15章 どっちがよかった?(R18)
はぁ…はぁ…
自分の息の音が大きく聞こえる。
手首を縛っているものを解かれる感覚がする。
「あ…」
私は自由になった手でアイマスクを外す。
部屋に射し込む外の光が眩しい。
重い身体をゆっくりと起こす。
逢坂くんの姿を見つける。
「逢坂くん…」
「うん。なんか久しぶり?」
彼がにっこりと微笑む。
私は逢坂くんの身体にぎゅっと抱きつく。
涙がぐずぐず出てくる。
彼が私の頭をなでなでする。
「…泣いてるの?泣くことないのに」
「うん…」
私もそう思う…。
彼が私の唇に優しくチュッとキスする。
私は彼の肩にもたれて頬にこぼれた涙をそっと指で拭う。
彼が耳元でささやく。
「縛ったのが良かったの?目隠ししたのが良かったの?」
「……」
それは…
「えーん」
私は泣き真似してごまかす。
「嘘泣きだよね?」
彼は笑って私の頬をぷにぷにする。
私も思わず笑ってしまう。
fin