第14章 リアル女子
「先輩、好きな食べ物って何ですか?サンドイッチ以外で」
いきなり唐突な質問…天然系?
「うーん特にないけど…。あ、イチゴ!真っ赤に熟れた苺をみすゞちゃんが頬張るシーンが…って、ハッ!」
いきなりアニメ語りをしてしまった!
「みすずちゃん?先輩の彼女ですか?」
ゆめちゃんがピュアな瞳で質問する。うぅ…。
「いや…。みすゞちゃんは二次元…アニメに出てくる女の子…。
だから彼女が出来たら苺を一緒に食べたいなぁ…って。
そういうのドン引きだよね…」
ゆめちゃんが引き続きピュアな表情でボクを見つめる。
ドン引きを隠すために表情を変えないのか!?
ゆめちゃんが口を開く。
「え、全然大丈夫ですよ。わたしの彼氏のほうが全然気持ち悪いです」
「…えっ。大丈夫かな」
「ハイ。大丈夫です」
ゆめちゃんがグッと親指を突き立てる。
あ、大丈夫…なのか?
「あ、あの…立ち話もなんだし…よかったら一緒に食べない?これ」
なんだか自信がついたボクはゆめちゃんを誘ってみた!
しかし…
「あ、ごめんなさい。わたし…」
そうだよねそうだよね!
ボクは彼女のセリフをさえぎる。
「彼氏と一緒に食べるよね…ごめんごめん…」
「あ、いえ。クラスの女子と食べるんです。
彼氏とは登校も下校も一緒なんで。
だからお昼まで一緒だとうっとうしいですねー」
「そ…そうなんだ…」
「じゃあわたし教室に戻りますね。それでは〜」
ゆめちゃんはサンドイッチを持った手を振って去って行った。
…
あんな素直で優しいゆめちゃんでも…陰で彼氏のこと気持ち悪いとかうっとうしいとか言うんだ…。
女子怖えぇ…。
…そうだ!
みすゞちゃんなら…そんなこと言わないよね!
ボクはみすゞちゃんへの想いを再確認した。
fin