第14章 リアル女子
「芹澤先輩!」
ざわざわとした購買で僕の名を呼ぶ女子!の声がボクの耳に届いた。
消しゴム落としてもスルーされる系男子のボクに声をかけてくれる女子と言えば…
「こんにちは。先輩もお昼買いに来たんですか?」
佐藤ゆめちゃんがボクの目の前でにっこりと笑う。
彼氏ありのリア充女子!
なのにボクと話をしてくれる天使!
「あ…いいのかな。キミ彼氏いるのにボクなんかと話して…」
「え?大丈夫ですよ。バレなければ特に問題ないです。まあたいていなぜかバレるんですけどね」
ゆめちゃん(脳内の呼び名)がにこにこと話す。
問題ないということか。せっかくだから会話せねば。
「めずらしいね。キミが購買にお昼買いに来るなんて」
「そうなんですよー。お弁当忘れちゃって。先輩は何買ったんですか?」
「サンドイッチだよ。食パンの白くてフワフワしたところが好きで…。あ、早く行かないと売り切れちゃうよ」
「そうですね。いってきます!」
そう言ってゆめちゃんは購買の混雑の中に突入していった。
し、しまった。自ら会話を終わらせてしまった…。
しばらく呆然と立っていると、サンドイッチを持ったゆめちゃんが戻って来た。
「あれ?先輩、待っててくれたんですか?」
「いや…待ってたわけじゃないんだけど…待ってたんだよ。
ていうかキミもサンドイッチにしたの?」
何言ってるかわからなくなったので話をごまかす。
「ハイ。先輩の説明を聞いていると食べたくなっちゃって」
素直で可愛い〜。