第7章 偶然
「あ、ここにいたんだ」
逢坂くんの声が聞こえた。私を探していたみたいだ。
バサバサバサ
上の棚から本が数冊、逢坂くんに向かって落ちてきた!
「わっ!」
「キャー!逢坂くん大丈夫?」
私は逢坂くんに駆け寄る。
「イテテ…。うん、大丈夫だけど…ぶつかってもないのに棚から本が落ちてくるなんて」
逢坂くんが棚を見上げて不思議そうな顔をする。
(…偶然だよね)
「ケガしてない?保健室行く?」
私は本を拾いながら逢坂くんの顔を見る。
「あんなエロ保健医よりゆめちゃんに手当てしてもらいたいな。チューしてくれたら治るかも」
逢坂くんがわざと甘えた声で話す。大丈夫そうだ。
「…こんなとこでできないよ。今日ついてないみたいだから早く帰った方がいいね。行こうか」
私は落ちた本をしまって帰る準備をする。
「なんかゆめちゃん今日冷たくない?」
「被害妄想だよ。さあ行こ」
すねる逢坂くんを連れ出して私は図書館を後にした。
fin