第32章 もし雪山で遭難したら(R18)
私たちは再び布団にくるまって、じっと抱き合ってる。裸のままで。
身体も布団も部屋の中も、あったかくて幸せ。
「もし本当に雪山で遭難しても、絶対に僕は君を守る。もし君が一人で遭難したとしても、僕は絶対に君を見つけ出してみせるよ」
こんなにあたたかくて、ほわほわした日常の小さな幸せの中で、
どうして彼はそんな非日常な想像が出来るんだろう。
でも私には、彼の言葉に嘘がないってわかる。
どんなことがあっても、彼は私を守ってくれるんだよね。
彼の変な想像につられて涙が出てきちゃう。
バカみたい、って思ってるのに。
そんな自分が恥ずかしくて、私はバレないように、そっと自分の指で涙を拭う。
でも彼にはバレちゃう。
「泣かないで、ゆめちゃん。大丈夫だよ。僕は絶対にゆめちゃんを守る」
彼が私の頭をなでなでして、なぐさめてくれる。
大丈夫。
わたし、不安で泣いてるんじゃないよ。
幸せだから泣いているの。
でも、唇が震えてきっと上手くしゃべれないし、私の髪を撫でる彼の手が気持ちいいから…
私は黙って、彼の腕の中で目を閉じる。
わたし、しあわせなの
fin