第30章 バンビーナ!
次の日の放課後。またまたE組のクラスの前で。
「やあ、バンビーナ!」
「鳴海くん、こんにちは」
私たちは挨拶する。
「君は料理上手なんだね。玉子焼き、とても美味しかったよ」
「え? 食べたの?」
私が首を傾げていると、逢坂くんが飛んでくる。
「あぁ〜! また話してる!
いい加減、僕のゆめちゃんに気安く話しかけないでくれよ」
逢坂くんが鳴海くんに言う。
「ははは。いいじゃないか、逢坂くん。明るく社交的な彼女はとても素敵だよ」
「やっぱり隠さなきゃ…」
逢坂くんがなんかブツブツ言う。
「今日の昼休みにね、僕のサンドイッチと彼の玉子焼きを交換したんだよ。そしたら、そのお弁当は君が作ったものだと聞いてね。僕はとても感心したよ」
鳴海くんが私にさっきの説明をしてくれる。
「あんなの交換じゃない! 勝手に取り上げられて、勝手に押し付けられたんだ!
うぅ…僕は楽しみで後に取っておいたのに…」
逢坂くんがなげく。
「じゃあね、君たち。逢坂くん、僕の貸した本、読んでおくれよ」
「はいはい。それじゃ」
鳴海くんと挨拶して別れる。
…
「本、借りたの? 鳴海くんに」
私は逢坂くんに尋ねてみる。
「あぁ、シェイクスピアをね。昔、図書館で借りて読んだことがあるからいいって断ったんだけど、古典は何度読んでもいいものだから…って、無理矢理押し付けられてさ。参ったよ。
まあ、古典は何度でも…って、いうのには同意だけどね」
彼がやれやれって感じで話す。
なんだかんだ仲良さそう。
やっぱり気が合うと思ったんだ。
うふ、なんかいいことした気分。
うれしいな。
fin