第3章 逢坂くんのストーカー日誌
10月×日
書棚で本を探していると、そこに佐藤ゆめがいた。
棚の前で本を開き、立ち読みしている。
僕が棚に用があるのに気づくとちょっと身体をどかし、また立ち読みを続けた。
邪魔になっている自覚があるなら席に座って読めばいいのに。
読んでいたのは「ハリーポッター」
真ん中辺りを開いている。
さすがに最初のページからそこまで立ち読みしていたのではなく、適当に開いたページから読み始めて夢中になったのだろう。
僕もそういうことはよくある。
何度も読んでいる好きな本で。
「ハリーポッター」か。
久しぶりに読んでみるかな。
10月×日
佐藤ゆめはいつもの席で勉強をしているが、相変わらずはかどっていないようだ。
数学が苦手なのかな。
後ろを通るときノートをちょっと見てみた。
…そんな問題がわからないのか。
あまり頭は良くないようだ。
11月×日
今日もゆめちゃんはいつもの道を歩いて登校している。
髪にリボンがついてる。
あれはピンでついてるのかな、似合っててとても可愛い。
一人で歩いているけど、機嫌良さそうに時々ニコニコしている。
今朝のめざましテレビの星占いが1位だったからかな。
11月×日
部活の途中、僕は用を作って図書室に行く。
ゆめちゃんはいつもの席で本を読んでいる。
机の上に置いて開いているので残念ながら表紙が見えない。
今日は何の本を読んでいるのかな。
夕方の優しい光に照らされた彼女がとても綺麗だ。