• テキストサイズ

三番隊の剣士【薄桜鬼】

第1章 剣士


新選組――世間では「壬生狼」と呼ばれる剣客集団。

屯所の門をくぐった瞬間、霧島悠はその名の重みを肌で感じた。

石畳に響く足音、鍛錬場から聞こえる刀のぶつかる音。
凛とした空気に、隊士たちの掛け声――まるで一歩踏み入れただけで、自分が試されているかのようだった。

――ここならきっと、果たせるかもしれない。

女の霧島が男装してまで新選組に入りたかった理由。
それは、不逞浪士に殺害された父母の無念を晴らすためであった。


屯所の入り口には若い少年が立っていた。

――どこかの組の隊士だろうか。

幼い顔立ちと高い位置で一つに結わえた髪が印象的だった。
霧島の存在に気づくと、少年はにっこりと微笑む。

「霧島さんですね。お待ちしておりました」

少年は名前を雪村千鶴と名乗った。

雪村は屯所の一室へ案内してくれる。
廊下を歩く足音に合わせて、胸の奥が高鳴る。
緊張と期待が入り混じり、自然と背筋が伸びた。


「近藤さん、霧島さんです」

「あぁ、入ってくれ」


雪村が襖を開けると、座敷に佇むその姿に、思わず息を呑む。

巷で噂に聞くと近藤勇――その人であった。

近藤の目が霧島を捉え、胸の奥がざわつく。
心臓がわずかに早鐘を打ち、自然と気を引き締める。

「おぉ、よく来たな。霧島くん」

「はっ、近藤局長、本日よりお世話になります」

畏まって膝をつき、深く頭を下げる。
近藤はその姿をじっと見つめ、やがてふっと笑った。

「おいおい、そんなに緊張することないだろ」

その声は思ったより柔らかく、霧島の胸の奥の緊張がわずかにほどける。

「はっ、失礼致しました」

慎重に返事をしながらも、心臓は早鐘のように打つ。

「君は今日から三番隊だ。隊長は斎藤一くん。彼の指示に従って行動するように」

「かしこまりました」

言葉を口にするたび、気持ちが引き締まる。

「斎藤くんは稽古場だったかな。雪村くん、案内を頼めるかな」 

近藤の穏やかな声に促され、雪村は一歩前へ出た。

「わかりました、霧島さん、ご案内します」
/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp