第1章 揺れる心と優しい手当て1
揺れる心と、優しい手
「はぁ、はぁ……ったく、呪霊の分際で、とんでもねぇ攻撃してきやがる」
瓦礫に埋もれた廃ビルの一室で、俺は肩で息をしていた。腕には深々と呪霊の爪痕が残り、ズキズキと熱を持っている。出血もひどくて、このままだと任務どころじゃなくなる。
「虎杖くん、大丈夫!?」
焦った声がして、視界の隅に青さんの姿を捉えた。32歳になった青さんは、相変わらず優しくて、ちょっとドジなところもあって、俺にとってはいつも癒しの存在だ。今日はたまたま任務が被って、こうして怪我の手当までしてもらってる。
青さんは手際よく救急箱から消毒液とガーゼを取り出すと、俺の腕にそっと触れた。ひんやりとした消毒液が傷口に染みて、思わず顔をしかめる。
「ごめんね、しみるよね。でも、ちゃんと消毒しないと後で大変だからね」
心配そうに眉を下げて、青さんは俺の顔を覗き込む。その視線が、やけに熱く感じた。普段なら何とも思わないはずなのに、今は違う。青さんの指先が俺の肌に触れるたびに、ゾクリと背筋に電気が走る。
手当を続ける青さんの真剣な横顔、前髪から覗く白い額、そして何よりも、俺の怪我を心配してくれているその優しい気持ちが、俺の心を大きく揺さぶった。
続く