第31章 『かわいい責め』藤堂平助編
両手で顔を覆って、しゃがみ込んでしまった平助くん。
「そ、そんな連発すんなよ……俺の理性が、もたない……!」
その様子がまたかわいくて、わたしもついしゃがみこんで隣に座ると──
「ももかちゃん……ずるい……」
顔を手のひらにうずめたまま、平助くんが小さく呟く。
「……俺だって、男なんだぞ?そんなにかわいいとか言われ続けたらさ……」
わたしのほうを振り向いたときには、耳の先まで真っ赤に染まっていた。
「我慢できなくなる……!」
ぎゅっと抱きしめられて、そのまま庭の木陰に引き寄せられる。
「……ねぇ、俺のこと''かわいい''って言うたびに、こうやってお返ししてもいい?」
「お、お返しって……なにを?」
「んー……例えば、こんなの」
唇が頬にふれた。ちゅ、と音がして、胸が跳ねる。
「それから、これも」
おでこにも、口付け。
そして最後に、真っ正面から抱き寄せられて──
「……俺のほうが、かわいくさせてやるから」
くすぐったい笑顔で、そっと唇を重ねてきた。
口付けのあと──
「……ねぇ、ももかちゃん。次から''かわいい''って言うたびに、責任とってよ」
「どう責任とればいいの?」
「ずっと抱きついてても文句言わないとか、好きって100回言うとか……あと、夜ずっと一緒に寝るとか」
「ふふ、かわいい」
「〜〜、また言った!!」
赤くなりながらも、何度も何度も「かわいい」って言われて、最後にはすっかり離れなくなる平助くんだった。
fin.