第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※
静寂。
そこに残っているのは、夜風だけ。
ホークスの手は、空を掴んだまま止まっていた。
ジーニストの繊維も、宙で止まる。
2人とも、理解が追いつかない。
ホ「……は……?」
信じられないように、呟く。
そして次の瞬間。
ホークスの目が、怒りで燃えた。
ホ「……今の…オールフォーワンの……ワープ……」
ホークスの低い声。
ジーニストの声は、静かだった。
だが確実に震えていた。
ジ「……奪われた」
さっきまでそこにいたはずのは、もうどこにもいない。
黒い泥も、跡形もなく消えている。
さっきまで。
さっきまで、そこにいた。
呼んでいた。
名前を呼ばれた声が、耳に残る。
ホークスの瞳が大きく見開かれる。
ホ「……っ!!」
地面を殴る。
鈍い音が響く。
ホ「くそ……っ……!」
すぐそこにいたのに。
手を伸ばしたのに。
届かなかった。
ジーニストは、その様子を見ていた。
その繊維はまだ宙に浮いたまま。
ゆっくりと、力なく落ちていく。
ジ「……」
声が出ない。
冷静でいるはずの頭が、うまく働かない。
ほんの数秒前まで、はここにいた。
守れる距離だった。
ホークスは立ち上がる。
顔は、もう笑っていない。
ホ「……連絡」
低く言う。
ホ「警察と……オールマイトさんに」
声が震えている。
ジーニストは、静かに頷いた。
だがその目は――
怒りと後悔で、暗く沈んでいた。