第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※
言葉が出ない。
ただ、息が浅くなる。
守ると言われても、奪うでもなく、縛るでもなく。
ただそこにいると告げられる。
胸の奥が、痛いほど熱い。
「……維さん」
声が震える。
その瞬間、ジーニストの手が、再びの頬に触れた。
今度は、少しだけ強く。
そして――
唇が重なる。
先ほどの口づけより、深い。
確かめるように。
静かに、ゆっくりと。
「んっ…ぅ……はぁっ…」
の肩が、震える。
ジーニストの指が、そっと頬を撫でる。
離れたとき、の目からぽろりと涙が落ちた。
「……っ」
慌てて顔を伏せる。
「……なんで……」
声が震える。
「なんで……そんな優しいこと言うんですか……」
涙が、止まらない。
言葉が途切れる。
「雄英も……みんなも置いてきて……」
頭に浮かぶ。
温かかった腕の中。
強い想い、真っ直ぐな目。
机の上に置いたネックレス。
「それなのに……」
声が崩れる。
「まだ誰かに縋って……」
涙が頬を伝う。
「こんなの……」
小さく、呟く。
その時。
ジーニストの腕が、静かにを引き寄せた。
抱きしめるというより、包むように。
ジ「……ずるくない」
落ち着いた声。
ジ「人は、寒い時に震える」
髪に触れる。
ジ「それは、恥ではない」
の肩が、また震えた。
ジーニストは続ける。
ジ「震える夜に、羽織るものがある」
静かに言う。
ジ「それだけだ」
の涙は、しばらく止まらなかった。
ジーニストの胸元に顔を埋めたまま。
声を押し殺して泣き続けた。