第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※
ジーニストの声は、穏やかに続いた。
ジ「そして上着には、もう一つ役割がある」
を見る。
ジ「傷や、震え。見せたくないものを、静かに覆う」
一拍。
ジ「人前で強く立つための――“外套”だ」
の胸が、きゅっと締まる。
ジーニストは、静かに言った。
ジ「」
真っ直ぐ名前を呼ぶ。
ジ「私は、にとっての上着でありたい」
風が止まる。
ジ「常に必要な存在でなくてもいい。普段は、そこに掛けてあるだけでいい」
ゆっくりと言葉を選ぶ。
ジ「だが、寒い時。どうしようもなく心が震える時」
視線が優しくなる。
ジ「私を羽織ってほしい」
わずかに、口元が緩む。
ジ「守ることも、包むことも、隠すことも出来る」
の目を見て、静かに告げた。
ジ「すべてから守る、とは言わない」
だが、と続ける。
ジ「少なくとも――が寒さに震える夜には」
ほんの少しだけ、距離を詰める。
ジ「私が、覆いたい」
そして。
ジ「それが、私の想いだ」
ジーニストの言葉が、静かに落ちる。
夜は静かだった。
風の音だけが、遠くで揺れている。
は、すぐに言葉が出なかった。
胸の奥が、じんわりと熱い。
(……あたたかい)
包まれるような言葉だった。
強引でもない。
奪うわけでもない。
ただ、そこにあると告げるような――
(こんなふうに、言ってもらえるなんて…)
喉が少しだけ詰まる。
けれど。
「……そんな」
小さく首を振る。
「そんな都合のいいこと……」
視線が揺れる。
「私だけ守ってもらうなんて……」
罪悪感が滲む声だった。
ホークスに縋っている自分。
雄英を置いてきた自分。
そんな自分が、こんな優しさまで受け取っていいのか。
は、言葉を探すように俯く。