第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※
ジ「が彼に縋る気持ちは、理解している。そして彼が、を強く求めていることも」
一拍。
ジ「……でも、の“全部”を受け止める役目を、ホークス1人に背負わせる必要はない」
夜風が、2人の間を通り抜ける。
ジ「だが今のは、一本の糸に体重を預けている状態だ」
指先で、空中に線を描く。
ジ「もしその糸が切れたら。は、立っていられない」
は、言葉を失う。
ジーニストは続けた。
ジ「だから支えを、増やせばいい」
静かな声。
ジ「私はホークスの代わりになろうとは思わない。彼には彼の役割がある」
だが、と言葉を区切る。
ジ「もう一本、糸を増やすことならできる」
の心臓が、強く鳴った。
ジ「ヒーローとしてではない。私自身、1人の人間として、を支えたい」
「維さん…」
ジーニストは少しだけ視線を逸らし、そして戻した。
ジ「……」
ジーニストは、少しだけ空を見上げた。
ジ「服というものは、不思議な存在だ」
唐突な言葉に、は瞬きをする。
ジ「人は毎日身に纏うが、その役割を深く考えることは少ない」
指先で、自分のコートの袖を整える。
ジ「例えば、上着」
静かな声。
ジ「一年中、必要なわけではない。暖かな季節には、なくても困らない」
一歩、へ近づく。
ジ「だが――寒さが訪れた時。人は無意識に、それを探す」
夜風が、ふっと吹いた。
ジ「体温を守るため。外の冷たさから、自分を守るため」
は、黙って聞いている。