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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※


の背中に、ホークスの腕が回る。
強く、逃がさないみたいに。

その温度に触れると、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

(……っ)

ホークスの匂い、声、呼ばれる名前。

ホ「……」

その声に、心臓が跳ねる。

好きだ。
確かに、好きだ。

それなのに――

頭に浮かんだのは、少し前の夜、静かな部屋。
強く抱きしめられた腕。

「好きだ」「愛してる」と、告げられた声。

忘れたはずだった。
置いてきたはずだった。

でも、人の温もりは、記憶を呼び起こす。

ホークスの指が、の髪に触れる。
その仕草があまりにも、優しくて。

(……似てる)

比べるつもりなんてなかった。
比べちゃいけないって、わかってた。

それでも、守るような触れ方。
大切なものに触れるみたいな慎重さ。

(やめ…て……)

心の中で、叫ぶ。

思い出すな。
ここにいない人を、連れてくるな。

今、ここにいるのは確かに好きなホークスなのに。
でも、ホークスの腕の中で、は知ってしまう。

自分はまだ、壊れたままだと。

誰かの腕に抱かれていないと、立っていられないほど。

ホ「……大丈夫」

ホークスの声が、すぐそばでする。

ホ「俺がおる」

その言葉に、胸が、ずきんと痛んだ。

同じ言葉。
同じ意味じゃないのに。

ホークスは、未来を約束しない。
相澤や爆豪たちは、未来を信じていた。

なのに、今縋っているのはホークスの体温だった。
は、ぎゅっと目を閉じる。

(……ごめんなさい)

誰に向けた謝罪かも、もうわからない。

相澤たちに。
ホークスに。
それとも、自分が作り出してしまったこの壊れた世界に。

ただ一つ確かなのは。

この夜は、“癒し”じゃない。

これは、上書きだ。
相澤を、爆豪を、轟を薄めるための。

忘れるためじゃない。
思い出せなくなるための、夜。

ホークスの胸に顔を埋めながら、は、静かに思う。

(……これで、終わりにする)

心はまだ、誰かを置き去りにしたままなのに。
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