第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
――夜中。
は、静かに目を開ける。
相澤は、眠っている。
その寝顔を、長く、長く、見つめてから。
そっと、腕の中から抜け出す。
胸元に触れ、いつも身につけていた、ダイヤのネックレスを外す。
相澤がくれたもの。
机の上に、静かに置いた。
涙が、ぽたり、と落ちる。
「……さよなら……消太さん……」
声は、ほとんど、音にならなかった。
振り返らない。
振り返ったら、全部壊れてしまうから。
(大好きでした)
は、静かに部屋を出た。
愛したまま。
愛されたまま。
何も言わずに。
________
朝。
目を覚ました瞬間、相澤は違和感を覚えた。
腕の中が、空だ。
相(…?)
まだ残る体温。
確かに、昨夜はここにいたはずなのに。
ゆっくりと身を起こし、視線を動かしたその先。
机の上に、それはあった。
小さな光を反射する、ダイヤのネックレス。
相「……」
心臓が、嫌な音を立てて跳ねる。
無意識に、ネックレスを掴む。
指先が、震えた。
頭の中で、昨夜のの表情が、声が、断片的に蘇る。
答えなかったこと。
眠りに落ちる前の、かすかな声。
――嫌な予感が、確信に変わろうとしていた。
相澤は立ち上がり、の部屋へ向かった。
ノックをしても返事は、ない。
ドアを開ける。
……人の気配がない部屋。
私物は最低限。
生活の痕跡だけが、置き去りにされている。
相「……くそ……」
相澤は、必死で走った。